ドリーの短期記憶障害はワーキングメモリ?「ファインディング・ドリー」に見る心の回復 - まるまる録

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ドリーの短期記憶障害はワーキングメモリ?「ファインディング・ドリー」に見る心の回復

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こんにちは。まるです。
映画「ファインディング・ドリー」を見てとても感銘を受けました。私は身近に発達障害の人がいます。ドリーを見て教えられることが多くありました。

ドリーの短期記憶障害とはどんなものか、発達障害とどんなかかわりがあるのか、もう少し詳しく考えていきたいと思います。

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短期記憶障害とは?

映画「ファインディング・ドリー」では、ドリーは両親に人に逢った時は次のように挨拶をするように教えられます。

「こんにちは、わたしはドリー。わたしには短期記憶障害の病気があるの」

この短期記憶障害とは何なのでしょうか。ドリーの言う通り病気なのでしょうか。

短期記憶障害とは?

「短期記憶障害」というのは、元々はドラマや小説でよく聞くような「記憶喪失」も含まれます。

多くドラマの設定だと、記憶喪失の人は自分が誰でどこから来たのか、自分の名前などもわからないということになっています。

しかし、記憶に障害がある一方で、言葉を話すことや、字を読むこと、食事の仕方や服の着方などの、もっと古い記憶は忘れられていないのです。

ドリーの「忘れちゃった」というのは、それとは違います。

ですので、ドリーの短期記憶障害というのは「ワーキングメモリ」というものが最も近いと思います。

ワーキングメモリについて

ワーキングメモリというのは、作業や動作に必要な情報を一時的に記憶し処理する能力のことです。

私たちが会話ができるのは、相手の話を一時的に憶えることができるからです。

たとえば、先生が「明日、新しいエプロンを持ってきてください」と言ったら、たいていの人は、それを1分後でも、あるいは1時間後でも、家に帰ってからでも憶えていられますし、思い出すこともできます。

しかし、ワーキングメモリが弱いと、それが通常とは違ったパターンになってしまいます。

みんなが憶えて入ることが、一人だけわからないということになると、話が合わなくなってしまいますね。

学習や仕事で困ること

学校で勉強する人なら、先生の話がわからなかったり、ノートに書き写すことも難しくなります。

読んだ内容を記憶できないために文章を理解するのに時間がかかる、または頭に浮かんだ内容をすぐ忘れてしまため、文章を書くことも苦手になります。

先生の指示が思い出せないため、忘れ物も多くなりますし、行動にも移せません。

ワーキングメモリの弱さと発達障害との関連は?

ワーキングメモリが弱い場合に出る症状と発達障害の症状は似ている点が多いので、関連があると考える専門家もいますが、関連を決定づける研究結果はまだありません。

しかし、ドリーの場合は、よく考えないで行動してしまうという衝動性といったものは、発達障害の一種ADHD(注意欠陥・多動性障害)によくみられる症状です。

 

そもそも発達障害とは? 

生まれつきの脳機能の発達にアンバランスな点があり、社会生活に困難が発生した場合に「障害」と呼ばれます。

厳密に言えば、「病気」とも少し違うとも言えますが、本人の苦痛が大きかったり、生活に支障が出る場合は、対処が必要になるでしょう。

発達障害の原因は?

生まれつきのものだとされています。
よく誤解される点ですが、生まれた後の環境要因、たとえば親の育て方や愛情不足といったことが直接の原因にはなりません。

事件があると、発達障害が取りざたされるが

発達障害だから犯罪率が高いということはなく、この点も誤解されている面があります。

診断は?

専門機関でないと、簡単に発達障害との診断はできません。
発達障害の診断そのものが難しいことも多く、まだわかっていなことや、定まっていない面もあります。

発達障害は、タイプがいろいろあると同時に、個人差も大きいです。
それぞれの人に合った対処法で、生活上の工夫の仕方を教えてもらう、必要なら治療を受けることもできます。

また、カウンセリングなど相談できるところを持ち、心の安定に役立てることもできます。

「ファインディング・ドリー」の描くもの

ドリーは自分の症状のために、自己評価が低くなっています。
自分を理解してくれて、助けてくれる仲間と出会って、他者の肯定を通してはじめて、自分を肯定できるようになります。

自己評価の回復

ファインディング・ドリーで素晴らしいと思うところは、仲間と共同で物事を進めていく行程を通して、自らの人間性(ドリーは魚ですが)を回復し、再生していくというところなのです。

発達障害の人は、生育過程やその後の人生でどうしても悩みを持ちがちです。

悩みの大半は、自分は人とは違うことを「劣っている」と思うことからきています。けれども、違っていることが、即劣っているということではないのです。

それらの考えは、人間関係の悩み、または人と関わる社会的な場で起こることが多いのですが、それを解決できるのは、やはり、新しい人間関係しかありません。

基盤となる家族との関係

それらの基盤となるのは、やはり家族、ドリーの場合は両親との関係です。ドリーは忘れていた「愛情」を心によみがえらせます。

これは私たちもわかっているようで、案外忘れています。一緒に暮らしていても、遠くにいればなおさら、「愛情」をいつも感じているわけではないのです。

ドリーが思い出して心をあたたかくする愛情というもの――両親に会うということは、そのあたたかい心のよみがえりなのです。

他者の存在の大切さ

「ファインディング・ドリー」で見るべきは、主人公のドリーではなく、むしろドリーの家族、そして周りの魚たちとその描き方の方です。

ドリーを理解してくれる、そして、ドリーのできないことに自然に手を貸してくれる、自分に肯定的な他者の存在――

これは発達障害の人のみならず、私たちみんなが必要としているものであり、また、案外それとは気付かずとも、実際にしていることでもあります。

そのような当たり前のことを作品を通してもう一度振り返ることのできる映画「ファインディング・ドリー」、家族や仲間の結びつき、大切なことを忘れないためにも、繰り返し見たい映画だと思います。

 

前作の「ファインディング・二モ」。 見逃した方はこちらもどうぞ。

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