スマホの格安データ通信サービスが、迷惑メールや偽ブランド品の売買に使用されて問題になっています。
以下、朝日新聞の記事より。
スマートフォンの格安データ通信サービスで、メルカリやLINEなどの匿名のアカウントが不正に大量に作られ、迷惑メールや偽ブランド品売買に使われる被害が相次いでいる。通信用SIMカードの設定の「死角」を悪用されたとして、格安スマホ事業者(MVNO)の一部はSIM回収などの対策を講じた。総務省も販売方法の見直しを事業者団体に求めた。
メルカリやLINE匿名のアカウント
スマートフォンの格安データ通信サービスで、メルカリやLINEなどの匿名のアカウントが不正に大量に作られ、迷惑メールや偽ブランド品売買に使われる被害が相次いでいる。通信用SIMカードの設定の「死角」を悪用されたとして、格安スマホ事業者(MVNO)の一部はSIM回収などの対策を講じた。総務省も販売方法の見直しを事業者団体に求めた。
SIMカードは家電量販店などで購入できる。購入後にMVNOと契約を結び、スマホに差し込むとネットにつながる。ところが一部のMVNOが販売していたSIMカードは、電話番号で短文のやりとりができる「SMS(ショートメッセージサービス)機能」だけは未契約でも使える状態で出荷されていた。
未契約でSMS
メルカリやLINE、フェイスブックなどは、スマホの持ち主が作ったアカウントかどうかの確認にSMSを使う。登録した電話番号あてに「認証コード」という番号を送り、それを所有者が入力すればサービスを使えるようにする。そこで未契約でSMSが使えることに目を付け、匿名アカウントを大量に作る不正行為が相次いだ。
契約者が存在しない電話番号から作られるアカウントなので、悪用しても追跡されない。メルカリのようなフリーマーケット(フリマ)サイトに偽ブランド品が大量に出品されたり、企業がキャンペーンなどで付与するポイントやクーポンを大量に取得されたりといった被害が朝日新聞の取材で確認された。出会い系サイトなどに誘導する迷惑メールにも使われた。メルカリも不正を把握し、出品を止めるなどの対策を講じているという。小泉文明社長は「利用者が増え、新たな手口が次々と出てくる」と話す。
不正アカウント摘発
不正アカウント作成が摘発されたケースも。島根県警は昨年6月、メルカリや課金ゲームなど約11万アカウントを不正に作成して売り、3千万円近い利益を得たとして私電磁的記録不正作出・同供用容疑で男2人を逮捕、松江簡裁が罰金50万円の略式命令などを出した。2人はアカウント作成に必要な電話番号を手に入れるため、ネット通販でSIMカードを大量に購入、1アカウント800~900円で販売していた。県警が押収したカードは計1052枚にのぼる。
捜査の過程で、未契約のSIMカードでSMS機能を使った不正アカウントも多数確認された。
SMS機能の不正利用の実態は昨年、朝日新聞が把握した内容をMVNO大手の2社に伝えた。NTTコミュニケーションズは1月末までに未販売のSIMカード6千枚以上を回収。店頭販売をやめ、契約後にカードを発送する方法に3月末までに切り替えた。インターネットイニシアティブ(IIJ)は昨年、未契約ではショートメッセージ機能が使えないようシステムを抜本的に改修した。両社とも「SMSの不正利用は全くの想定外。事態を深刻に受け止めている」としている。
販売の見直しを要請した総務省は「不正利用の広がりを防止する必要がある」(消費者行政第二課)としている。ただMVNOは700社近くあり、事業者団体に加盟していない社もあるため、対策が行き届いたかどうかは確認できていないという。(朝日新聞)
MVNOとは
〈MVNO(仮想移動体通信事業者)〉 大手携帯電話会社3社から通信回線を借り受け、月額1千~3千円程度と格安の通信・通話サービスを提供する事業者。家電量販店やネットで契約を結び、手に入れたSIMカードをスマートフォンにセットすると利用できるようになる。自前の基地局を持たず設備投資が抑えられるため割安にできる半面、時間帯によってはつながりやすさや通信速度が安定しないこともある。民間調査会社MMD研究所の調査によると、1台目に使うスマホでMVNOを選ぶ人の割合は約10%。